【中国語】発音基礎09:アル化・変調・軽声

発音基礎

目標

次の学習で実際にアル化・変調・軽声を正確に発音できるようにするため、 アル化・変調・軽声についての知識を学びます。

アル化・変調・軽声についての知識

動画でアル化・変調・軽声を学ぶ

以下の動画を見て、アル化・変調・軽声の特徴を理解し、真似しながら発音してみましょう。実際のトレーニングは次の学習で行います。

※手鏡やスマホのカメラなどで「ご自身の口の形」と「動画のネイティブの口の形」の両方を確認しながら、しっかり口の形を作りましょう。自分の口は自分で思っているほど動いていないことがあります。

見本が速すぎる場合は画面右下の歯車マーク(設定)からスロー再生(0.75倍)などに調整してみてください。

※YouTubeで広告が入ってしまう場合、こちら(受講生のみ)で元データの動画の閲覧が可能です。男性版の音源もご利用いただけます。

アル化

アル化は、中国語で“儿化érhuà”といい、アール化とも呼ばれ、単語の最後を発音するとき舌を巻くことを指します。アル化はもともと北方の話し言葉に多く見られる現象で、一部の単語は標準的な普通語にも採用されています。しかし、南方ではあまり使われないので、学習項目としてはあまり優先度は高くありません。上を目指すときのために、基礎知識は理解しておきましょう。

(1)アル化の概要

アル化とは、「“儿”ér」が他の音節(漢字)の後ろについて、前の音節と一緒に発音されることです。ピンインの表記としては、アル化された「er」は「r」だけの表記になります。例えば、「那nà」がアル化する場合「那儿nàr」という表記なります。(nà erとはなりません。)

“儿”のもともとの発音と意味 “儿ér”は日本の漢字では「児」で、「子ども」という意味を持ちます。例えば、儿童értóng(児童)、 女儿nǚ’ér※(娘) などです。

※単語の途中に“a/o/e”で始まる音節がくる場合、ピンインはその前に“隔音符号géyīn fúhào”(’)をつけます。

“儿”はこの元々の意味のほか、単語の語尾に“r”(語尾のそり舌化)の「漢字表記」に使われる場合があり、“r”が語尾に付くをことを“儿化 érhuà”(アル化)と言います。

(2)アル化することで意味は変わるか?

以下のようにアル化することで品詞を区別したり、かわいさや親しみを表すことがあります。

①アール化の有無によって意味が変わる単語
  • 那nà(あれ)―― 那儿nàr(あそこ) →意味が変わります
  • 画huà(描く)―― 画儿huàr(絵) →品詞が変わります(動詞→名詞)
  • 盖gài(ふたをする)―― 盖儿gàir(ふた) →品詞が変わります(動詞→名詞)
  • 白面báimiàn(小麦粉)―― 白面儿báimiànr(ヘロイン) →意味が変わります
  • 后门:後ろの門 ―― 后门儿:不正なルート →意味が変わります
②必ずアル化で発音する単語・漢字
  • 怪味儿 guàiwèir(変なにおい、変な味)
  • 冰棍儿 bīnggùnr(アイスキャンデー)
  • 差点儿 chàdiǎnr(危うく、もう少しで)
  • 二 èr
  • 耳 ér
  • 而 ér
③話し言葉ではアル化するのが一般的な単語
  • 歌儿gēr(歌)
  • 玩儿wánr(遊ぶ)
④「小さい」や「親しみ」「軽蔑」などニュアンス

アル化により「小さい」や「親しみ」「軽蔑」などの気持ちを表すことがあります。「子供」を指して「小孩子」というより、「小孩儿」の方が愛らしい感じがでます。また、小偷儿(こそ泥)のように軽蔑の語気を表すものもあります。

(3)アル化の発音方法とパターン

アル化の発音は以下、大きく5パターンあります。

①-a、-o、-u、-e で終わる音節
母音+r
(脱落なし)
1花儿huār
2球儿qiúrボール
3干活儿gàn huór仕事する
4唱歌儿chàng gēr歌を歌う

もとのピンイン通り発音し、最後に舌先を巻きます。(huaならaを言いながら最後に舌を巻く)

  • 花儿 huā →花儿 huār
  • 歌 gē → 歌儿 gēr
②-iで終わる音節
i+r
(iが脱落)
5写字儿xiě zìr字を書く
6没事儿méi shìr問題ない

“r”の前の“i”を落として、その前の音を出しながら舌先を巻きます。ziならzの子音です。

  • 写字 xiě zì → 写字儿xiě zìr
  • 没事méi shì →没事儿méi shìr
③-nで終わる音節
n+r
(nが脱落)
7门儿ménrドア
8好玩儿hǎo wánr面白い

“r”の前の“n”を落として、その前の音を出しながら舌先を巻きます。wanならaを言いながらです。

④-ngで終わる音節
ng+r
(鼻音化)
9坑儿kēngr穴、窪み
10电影儿diàn yǐngr映画

鼻に息を溜め、“ng”を発してから舌先を巻きます。

⑤巻き舌er
巻き舌11第二dì èr第二
12而且ér qiěしかも

この場合érは日本語の「あ」に近い音で発音し、「あ」を出しながら舌を巻きます。

アル化の発音5パターンおさらい

カテゴリ番号漢字ピンイン日本語
アル化①母音+r
(脱落なし)
1花儿huār
2球儿qiúrボール
3干活儿gàn huór仕事する
4唱歌儿chàng gēr歌を歌う
②i+r
(iが脱落)
5写字儿xiě zìr字を書く
6没事儿méi shìr問題ない
③n+r
(nが脱落)
7门儿ménrドア
8好玩儿hǎo wánr面白い
④ng+r
(鼻音化)
9坑儿kēngr穴、窪み
10电影儿diàn yǐngr映画
⑤巻き舌11第二dì èr第二
12而且ér qiěしかも

変調

中国語の音節(ピンイン)が続けて発音されるとき、後ろの声調に影響されて声調が変わることがあります。これを「変調」といいます。変調には大きく3つのパターンがあります。

(1)第3声の変調

第3声が続いた場合、初めの3声が2声に変わります。これを変調といいます。声調符号は変わりません。

例えば「你好(nǐhǎo)こんにちは」の実際の発音はníhǎoとなります。最初の3声のniが2声になります。ピンインの表記は、nǐhǎoのままなので、自分で読み替える必要があります。

※中国語ネイティブからすると、頭で変換して変調しているわけではなく、読みやすくするため自然と変調してしまう、という感覚です。

3声の変調は、1つの単語内だけでなく文レベルでも起こります。例えば、「我 很 好(wo3 hen3 hao3)」(私はとても良い)のように3つ以上3声が続くことはよくあります。詳しくは以下のページを読んでみてください。

さらに詳しく→中国語で3声が3つ以上続く場合

(2)“不”の変調

否定を表す“不”bùは特殊な変調ルールがあります。

“不”の後ろに第4声(第4声から変化した軽声を含む)がある場合、第2声に変わります。こちらは「(1)三声の変調」と異なり、声調符号も変わるのが普通です。つまり、ではなくと表記します。

“不”の後ろが第1声、第2声、第3声の場合は、変わらず“不”bùと第4声で読みます。

例:
“不”bùの後ろに第4声がある場合は、第2声búに変わります。

例えば、不是 bù shì → bú shì のように変わります。

▼その他の例

“不”の後ろが第1声21不说bù shuō言わない
“不”の後ろが第1声22不听bù tīng聞かない
“不”の後ろが第2声23不行bù xíngだめだ
“不”の後ろが第3声24不好bù hǎo良くない
“不”の後ろが第4声25不看bú kàn見ない
“不”の後ろが第4声26不信bú xìn信じない
“不”の後ろが第4声27不胖bú pàng太っていない
“不”の後ろが第4声28不用bú yòngしなくていい

■さらに詳しく
「可能補語の否定形」や「反復疑問文の中の“不”」は軽声“bu”になります。
1.可能補語の否定形を作る“不”は軽声になります。
・开不进去 kāi bu jìnqu
・吃不了 chī bu liǎo.
・来不了 lái bu liǎo
2.反復疑問文の“不”も軽声になります。
・你困不困?Nǐ kùn bu kùn?(あなたは眠いですか? )
・你喜不喜欢熊猫?Nǐ xǐ bu xǐhuan xióngmāo?(あなたはパンダが好きですか? )
・你知不知道他的地址?Nǐ zhī bu zhīdào tā de dìzhǐ?(あなたは彼の住所を知っていますか?)

(3)“一”の変調

“一”はもともとyīと第1声で読む漢字ですが、これも変調(声調が変わる)することがあります。

“一”の後に第1声、2声、3声の音節の前では、第4声に変わります(例13-16)。

“一”の後に第4声(第4声から変化して軽声を含む)がある場合、この“一”は第2声に変調します(例17-18)。

①“一”の後に第1声13一天yì tiān一日間
①“一”の後に第2声14一直yì zhíずっと
①“一”の後に第3声15一本yì běn一冊
16一起yì qǐ一緒に
②“一”の後に第4声17一次yí cì一回
18一站yí zhàn一駅
③“一”は第1声のまま19一月yī yuè1月
20一号yī hào1日

③順番を表す序数の場合は、“一”は上記の①②ルールに関わらず、変調しません。もともとの第一声“yī”と発音します(例19-20)。

「一月」の場合、「一」の後が月yuèと第4声ですが、序数なのでそのまま第1声でyī yuèと発音します。

軽声

声調は第1声〜第4声の4パターンがあると学びましたが、さらにこれら以外に声調を持たず、短く弱く発音される「軽声」というものがあります。

軽声の音節は単独で発音されることはなく、他の音節の後に付いて発音されます。一定の高低を持たず、前の音節の声調によって、相対的に軽声の高低が決まります。第一声、第二声、第四声の後では低くなり、第三声の後では若干高めに発音します。高さのイメージは図式化すれば以下のようになります。

(1)軽声は第1声、第2声、第3声の後では低くなる

軽声は第1声、第2声、第3声の後では相対的に低くなります。

(2)軽声は、第3声の後では高くなる

軽声は、第3声の後では相対的に高くなります。

(3)軽声のコツは短く!

軽声のコツは短く!です。

第1声〜第4声はその中に高低の上がり下がりがあるため、一定の長さを持ちます。(2声のように上がるには、低いところと高いところが必要になります)軽声はその高低が出ないほど、短いのがポイントです。ポツンとさっと置くようなイメージで発音しましょう。

1声
軽声
29妈妈mā maお母さん
30哥哥gē geお兄さん
31桌子zhuō zi
32东西dōng xiもの
33消息xiāo xiメッセージ
2声
軽声
34爷爷yé yeおじいさん
35孩子hái zi子供
36名字míng zi名前
37勺子sháo ziスプーン
38朋友péng you友達
3声
軽声
39姐姐jiě jieお姉さん
40喜欢xǐ huan好きだ
41暖和nuǎn huo温かい
42饺子jiǎo zi餃子
43有的yǒu de一部の
4声
軽声
44爸爸bà baお父さん
45漂亮piào liangきれいだ
46客气kè qi遠慮する
47豆腐dòu fu豆腐
48谢谢xiè xieありがとう

ーーー以上(学習内容はここまでです。辛苦了!)ーーー