「精読」の重要性
精読は、推測や勘に頼らず、中国語を、中国語の構造そのままに正確に理解する力を培うために行います。これは何となく通じる適当な中国語で満足しない限り、読解にとどまらず、中国語を聴く、話す、書くための必要不可欠な力です。
ですから、中国語の学習のごく初期、はじめて文を扱う時から精読は始まります。
「精読」トレーニングの手順
以下、「精読」トレーニングの具体的な方法を説明します。
■step1:短時間で自分なりに中国語文を分析し、意味取りする。
一般的に、精読というとストイックに考えすぎて、自力で読み解こうとして、辞書をたくさん引き、場合によっては数時間でも粘るようなものを想像しがちです。
しかし、ここでいう精読トレーニングは、この作業を比較的簡単に済ませます。
ある程度、自分なりに文構造の分析をして、中国語文の趣旨、意味取りをやってそれで終わりです。1頁程度の文であれば、10〜20分程度で切り上げてしまいます。それからstep2に移ります。
文の構造を分析するとは?
各文の構造掴んで意味理解します。中国語の文は、文として何かの意味を作る上でどのような機能を担っているかで、6つの文成分に分けられます(主語、述語、目的語、定語(連体修飾語)、状語(連用修飾語)、補語。まずは、重要な「主語」と「述語」を特定し、その他の文成分との関係を把握してください。
→【重要】詳しくは文の構造を分析する方法をご覧ください。
■step2:説明、解説の力を借りて理解する(単語リスト作成)
自分なりの読解でおぼろなりとも中国語文を理解したら、あまり粘らず、コーチや先生に質問するか、テキストの解説、日本語訳を参考にして正確に中国語文を理解します。
文の構造、各単語の意味、使われ方、中国語文の趣旨を完全に理解してください。
同時に、新出単語(※)は、ノートにまとめて週1程度で見返します。このように、文章の中で実際に使われている単語を覚えると、文脈があるので実践的な単語力になります。
※テキストにある単語リストを使います。なければ、辞書を引きましょう。
■step3:反復読み
精読の仕上げは「反復読み」です。日本語訳、テキストの解説で理解した文を、少し時間をあけて、同じように分析、理解して読んでみる復習法です。
自力で、最初から最後まで一言一句、語順のまま正確に意味を取ってください(反復読み)。既にstep2で分析済ですので、難しくはないはずです。
合計2〜3回の反復読みを繰り返せば、その文は完全に自分のものになります。反復読みもサイクルを重ねることで精読する中国語を自分の中に取り込むことができます。
■反復読みをなぜ行うのか?
翻訳と照らし合わせながら読んだり、解説を聴いたり、読んだりして理解した中国語文は、その時理解したつもりでも、それっきり放置しておくと、しばらくたって読んでみると、さっぱりわからなくなってしまっていることがよくあります。自力で読解したものではないからです。
なぜこのような日本語訳の意味になるのか?なぜこの語順になるのか?1つずつ疑問をつぶして完全理解した文章は、次に読んだときも自力でスムーズに読むことが出来るはずです。
深い理解にするためには、あまり時間を置かず、一度完全理解したロジックを刻み込むように読解を行います(反復読み)。そうすれば、記憶がまだ鮮明ですから、容易に読解の道筋を辿ることができます。仮におぼろな個所がでてきたとしても、この段階なら、質問をしたり、解説を読み直すことによって、完全な読解を取り戻すことができます。
まとめ
「精読」トレーニングの3ステップ
- 中国語の文章を最初から最後まで、目を通して趣旨、意味を取る
- 解説や翻訳を参照して、一言一句漏らさず分析し、理解する。単語リストを作る。
- 最初から最後まで、語順通り一言一句を正確に理解する(反復読み)2〜3回
以上の方法(1~3のstep)を使えば、頑なに何の解説やサポートもなしに自力で中国語文を読み解く、一般的な精読法より、時間の点でも、エネルギーの点でも負担が軽く、効果的です。